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望月マユカ編~ライバルのあなた~

彼女は気が強く、負けず嫌い、スタイルも演技力も抜群だが、素直ではない。彼女の名は望月マユカ。
とある芸能養成学校に通っていて、ドラマや映画の仕事をそこそここなしている。
あの有名な大空遥の娘役をしたことでも有名だ。
放課後の現在、マユカは教室の掃除をしていた。
掃除をしていると、マユカは後ろから誰かに呼ばれた
「マユカ」
マユカは振り向いた。
マユカを呼んだのは、現在マユカと一緒に仕事をしている星河一葵であった。
見た目は女の子っぽいが、れっきとした男である。
一葵とマユカは現在、一緒にドラマの撮影の仕事をしている。今日もこの後、撮影があり、目的地が一緒なので一緒に行くこともあった。
また、この学校では芸能養成学校ということもあり、掃除を他の人に任せて芸能活動を優先することは許可されている。
そのため、一葵は「もうそろそろ行こ」と言って、マユカの左手をつかんだ。
マユカはその手を慌てて振りほどいた。
「掃除が終わってから一人で行くわ。先に行っててちょうだい」
「そっか、別にいいけど遅れることはないようにな」
「あたしが遅れるようなことするわけないでしょ」
「じゃあ先に行ってるよ」
そう言って、一葵は教室を出て行った。
マユカは先ほど一葵につかまれた左手を見た。左手は、一葵につかまれた感触がまだ残っていた。強く握られたわけでもないのに・・・

マユカはさっさと掃除を済ませ、学校を出て撮影所を目指した。
マユカと一葵は現在、学園物のドラマをやっている。お互い幼馴染の友達として接しているが、徐々に惹かれあう物語である。
視聴率は20%近くという、いい数字を保っており、マユカや他、スタッフ、出演者にとっても喜ばしいことであった。
学校をでて30分ほどして、マユカは撮影場所の放送局に到着した。
「やっと来た、遅いぞ」
一葵はマユカの元へ駆け出してそう言った。マユカはなぜか顔が赤くしながら、謝った。
「いいって、今から打ち合わせだから」
一葵はマユカの手を握り、駆け出した。
マユカは握られている手をじっと見ながら、一葵とともに打ち合わせ場所に向かった。

次の日、マユカは朝早くに学校に着くと、今日の授業の予習をしていた。
何分かすると一葵がやってきて「おはよう」と言いながら、マユカの隣の席に座る。
マユカと一葵は小6の時も隣の席どうしであった。
それが偶然、中学生になっても続いたのである。
今考えてみれば一葵とマユカはよく隣になることが多かった。校外学習のバスの座席も隣、校外学習で寝た布団も隣。
偶然・・・・・
そう、全て偶然である。でも、なぜかマユカは当時は意識してなかったことを思い出して意識するがあった。
「ねーねー、望月さんと星河君ってつきあってるの?」
急にいつも一緒にいる仲良し二人組みの女子がマユカと一葵に話しかけてきた。
この二人とは小学生の時からこういう話が好きだったそうだ。
マユカはこういう話にあまり興味を持たないタイプであるが、女子の中ではこういう話がお好きなのは多いそうだ。
「そんなことないって」一葵が軽く否定した。
「だって、仕事も一緒にやってるし席も2年連続隣同士だし」
短絡的な意見を二人の女子のうち一人が述べた。
とりあえず、マユカも何も言わないと逆に怪しまれそうなので否定した。
「そんなわけないじゃない、なんであたしがこんな人と」
一葵はその言葉を聞いて軽く苦笑いした。
その後、マユカは何事もなかったかのように予習の続きをした。
頭にはあまり入っていなかった。

放課後、掃除がおわり、今日は仕事もないため、マユカはまっすぐ家に帰ることにした。
玄関まで来ると、一葵が複数の女子に囲まれて仲良く話しているのが見える。
一葵は、1年ほど女として生活していたためか、男子とも女子とも仲良く喋れるような人であるらしかった。
だが、なぜかマユカは一葵が女子と話しているたび胸が痛くなった。
去年の今頃はそんなことは思わなかった。
多分、こう思うようになったのは、一葵が男だと知ってから・・・・・。
マユカは、見てみぬふりをしながら横をとおりすぎた

帰りに、隣のクラスの風間トキオと日比野絵梨が仲良く歩いているのが見えた。
二人は公認のカップルで、学校内でも有名である。
マユカはこっそりと二人を見た。二人はとても、楽しそうにしゃべっていた。
マユカはどことなく、二人が羨ましく思った。こんなことには、興味すらないはずなのに。

次の日曜日。
この日も、ドラマの撮影の日で、とうとうクランクアップである
だが、いつもは自信たっぷりのマユカは、今日だけが上手く演じれる自信がなかった
今日の撮影では、告白シーンがあるのである。
告白の台詞をいう演技はマユカは初めてであった。
だが、それだけではない・・・・なぜかは分からないが、自信がなかった。
「あたしあなたのことが好き」
「ストップ、マユカちゃんなんでそこだけ早口になるの?後、ちゃんと一葵君の顔見なきゃダメだって」
マユカの予想通りその場面は失敗ばかりであった。
マユカは珍しく監督に怒鳴られるほど怒られた。
あまりに失敗ばかりなので、いったん休憩に入ることになった
プライドの高いマユカは落ち込んでいた。
すると、突然左頬が冷たくなった。
「つめた」
左を見てみると一葵が缶コーヒーを持っていた
「マユカらしくないじゃん、あんな初歩的なミスばっかり繰り返すなんて」
マユカは一葵から缶コーヒーを受け取り、開けた
「マユカは好きな人いないの?」
マユカは一葵の急な質問に飲んでいたコーヒーを噴出しそうになった
だが、それを押さえ、口の中にあったコーヒーを飲み込んで顔を赤らめながら言った
「い、いるわけないじゃない。あたしは今仕事のことで頭がいっぱいなの」
「あっ、そういえば絵梨ちゃんが昔似たようなこと言ってたな~それで結局トキオのことが好きだったんだよ」
「あ、あたしは本当にいないのよ」
マユカはなぜか怒りながら言った。
マユカと一葵はお互い、コーヒーを一口二口飲んでいった。
一葵は言った。
「俺、演技してるときはマユカのこと愛しい人だと思って演技してるから、マユカもそうしたら?」
一葵なりのアドバイスなのであろう。
マユカは一葵に面と向かってそう言われ、なぜか心臓の鼓動が早くなった。
「では、もうそろそろ休憩終わります」
スタッフの一人がそう言い、一葵は移動しようとした。
マユカは一葵の背中に向かってこう言った。
「演技の時だけ?」
一瞬、マユカは時間が止まったような気がした。
なぜこんなことを言ったのか、マユカ自身分かっていなかった
「えっ?なんか言った?」
どうやら一葵には聞こえていなかったらしい。
「いいえ、ただ、あたしもあなたのこと愛しい存在だと思って演技するわ」
「うん、そうするといいよ」
そして、再度、撮影が始まった
「あ・・・・あたし・・・あなたのこと・・・・好き・・・・・」
「先に言われちゃった・・・・俺も、好きだ」
そして、撮影は無事に終了した。

「お疲れ様です」
そう言われて、マユカや一葵は大きな花束を受け取った。
一葵はマユカのもとへ駆け寄った。
「よかったよ。マユカ演技うまいから、本当に告白されてる気分になっちゃった」
「そう、そう言ってもらえると、うれしいわ。ありがとう」
それを聞いて、一葵は少し驚いた顔をした。
「何よ?あたしだって、礼儀ぐらいしってるわよ」
「そっか」
一葵はなぜかうれしそうに笑った、マユカは顔を赤らめていた。
その場所は、花のいい香りで充満していた。
「では、今からクランクアップ記念に集合写真を撮りますのでこちらに集まってください」
そう言われ、出演者は集合した。
真ん中の一番前に一葵とマユカが座った。
マユカはほんの少しだけ、一葵に近づいた。
「では撮ります」
マユカはその写真をマユカと一葵の部分だけ切り抜いて、部屋に置くことにした。
					
確か、初めて書いたサイドストーリーです(初公開から一部修正しています)。
自分で書いたのに、この小説を書いてからマユカが好きになりました(それはマユカというより、自分のイメージするマユカではないのかという突込みはなしでお願いします)
今見直してみると、一葵がクサいことばかり言ってるような気がします。